2023/06/07 18:35
最近取り組んでいたキット用のニット(試作)を編みながら・・・そして、先日、いただいたメッセージから気が付いたことです。
テクスチャーとバランス、色、模様について、少し考えたことを改めて文字にしてみました。
私事で恐縮ですが、私は、ヨークに模様のあるセーターも好きです。好きなのですが、それと同時に、私には似合わないという苦手意識がありました。
たまに、お店で見かけると、ついついふらふらと引き寄せられてしまい、鏡で合わせたりしてみるのですが、鏡の中の私は、残念ながら、こうであってほしいという私の想像とは異なり、(私自身、似合わないと感じて)、いつも一人で、少し恥ずかしい気持ちになったりしていました。恐らく、私の顔と私のいかり肩が組み合わさると、私自身がどうも似合わない、しっくりこないと感じてしまうようでした。個人的には、なで肩の人に、より似合うのではないかなと分析しています。
さて、そんな私ですが、去年、私は、「とても惹かれる!」と思うヨークに模様の入ったPaul Klee Sweaterに出合いました。惹かれるけれど、これは、ヨークに模様が入ったセーター・・・編んだところで、きっと、残念ながら似合わないだろうな、着ないかもしれないな・・・と、しばらく逡巡していました。それでも、とうとう、どうしても編みたくなってヨークに模様の入ったそのセーターを編むことにしました。
編むと決めたら、色を決める時から楽しくて、編みあがって着てみたら、このセーターが気にとても入ってしまい、
「やはり、ヨークに模様もいいなぁ。ただ、着たいなぁ!」と、自然と思っていたという、劇的な気持ちの変化がありました。
今回は編んだ時に、ソックヤーンとモヘアの糸と引き揃えにしたので肩のラインがそれほど強調されなく、また、模様が幾何学的であったことも、もしかすると、気持ちの変化に関与しているかもしれません。
苦手意識があった形式のものでも、こんなに意識が変わるものなのか!と、
特定の形式でも、それぞれ、その人にフィットするバランスがあるかもしれないというのは、私には大きな発見でした。
そして、それからは、無意識に、より、どんな糸、どんな色、どんなイメージで、どんな風に着たいのか?と具体的に細かく意識するようになっていたようです。今回編んだWhite Mountains Lightというセーターは、いつにもまして、はじめにイメージがありました。
✓以前編んだWhite Mountainsというセーターと、Paul Klee Sweaterの間のような・・・
トレーナーのような存在のセーター
✓少し肌寒い時に、無造作に、いつでも気楽に着られるセーター(←なのでウォッシャブルの6plyソックヤーン使用)、
✓より中性的に。格好良い感じと少しのかわいらしさもほしい。
襟元は、少し首の詰まったクルーネックにしたい(←なので2XSサイズにトライ)、
身ごろや脇、腕の太さはメンズのMくらいゆったりしていてほしい(←なので、Mサイズにトライ)。
✓色は、以前出合った、春の野原に朝もやがかかったようなグラデーション。
結局、袖のグラデーションや雰囲気を決めるのに試行錯誤して、合計4本分の袖を編みましたが、袖の長さや、アームホールなども体形に合わせて調整することができ、個人的には、微調整をしつつも、頭にあったイメージが形になった実感がありました。(数字だけでない、編みあがって着たときの雰囲気は、やはり、私にはまだまだ編んでみないと・・・。)
セーターを編むのは、買うよりも時間がかかる過程があるように感じますが、今回のようにしっかりイメージがある場合は、セーターを世界に探しに行くよりも、編んでしまった方が、出合える確率が上がる気がしています。
そして、もし、「はじめに苦手意識があった形式のものも、それぞれの人に合った調整をすることで、安心して着ていられる頼もしい仲間になってくれる可能性があるのかもしれないな」と、今は、思っています。
選ぶ毛糸の細さ、手触り、質感などのテクスチャー、色、形、模様をどんなふうに選ぶか?
着る人によって、そんなバランスを細かく探すのも、試せるのも、編み物の楽しみ方の一つかもしれません。
初めに苦手意識があったとしても、もし、興味があったのなら、そして、もし、そんなお気に入りのセーターにいつか出合えたら、みんな、さらに、楽しさが膨らんだりするのではないかな?と、勝手に、そんなことを感じています。
もちろん、無くても十分幸せだけれど、その人に合ったバランスの、みんな少しずつ違うカスタマイズされたお気にいりのセーターが合っても嬉しいかもしれないな・・・。と。
少し、話がそれますが、みんなで、同じデザイン、もしくは同じテーマでセーターや靴下を編む集まり(Knit along(略称kal)があります。
それに参加すると、なんだか、一層編み物が楽しいのです。人の数だけその人たちにお似合いの作品を拝見できるところも楽しいのです。
皆さんの色の組み合わせや、選ぶ毛糸へのこだわりなどを拝見すると、意識されていても意識していなくても、ご自身や、贈られる方への思いから、どうしたら似合うかな?どんな感じが似合うかな?と自由にカスタマイズを楽しまれている感じがするのです。
kalに参加しているときに感じる、ワクワクした雰囲気は、本当に沢山の人が、それぞれ自由にカスタマイズしている雰囲気で、その過程も、とても楽しいのかもしれません。
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おわりに・・・
※どうしても、誤解無いようにお伝えしたいのは、このWhite Mountains Lightのパターン(デザイン:Midori Hiroseさん)は何も変えなくてそのままで本当にとても素敵なのです。White Mountains,White Mountains Light合わせて、老若男女、皆さんにとても似合うのです。そして、こんな個人的なバリエーションにも柔軟に対応してもらえる包容力のあるパターンなのです。おすすめです。
写真(上)「Paul Klee Sweater」と、写真((下)「White Mountains Light」
Designed by Midori Hirose
Color Worked by Palettie
使用糸:Palettie Hand Dyed Yarn(写真(上)ヨーク部分は草木染4plyソックヤーン、写真(下)は、酸性染料6plyソックヤーン)

