2023/07/21 20:00

こんにちは。手染め毛糸のPalettieです。
我が家の藍のそばには、ちょっと気になる子たちもいます。
そのちょっと気になる子たちを通して、私がPalettieで大切にしていることが形になって現れたような気がした日の話です。


おちもなく、何かためになるような話でもないので、読み飛ばしていただいても大丈夫です。


--------------------------------------------------------


今回は、我が家の藍のプランターの横にある鉢の中で、勝手に大きくなってきている〈かたばみ〉の話です。


...「どこから来たんだろうか。」私が植えたわけではないので、土に種が紛れ込んでいたのかもしれません。


初めて〈かたばみ〉の存在に気が付いたのは、いつの頃か?あまりにも小さな存在に、その時期を覚えてはいませんが、小さく2,3本だった〈かたばみ〉に気がついてからは、もともとのその鉢の主にお水をあげる際には、気にかけるようになりました。

「この子たちは、これからどうなるのだろう?」という興味と、「別にこの子たちがいてもこの鉢の主が困ることもないだろう」という思いから、しばらく放っておくうちに、何度か冬を越し、今では、初夏に黄色い小さな花々をつけるようにまでなって大きくなってきています。

そして、今年は、なんと、少し離れたところに置いてある、藍のプランターから〈かたばみ〉の新芽が顔を出し始めていました。藍の発芽の時期よりも少しだけ遅く発芽したその芽を、私は、初め、藍の新芽かと喜んでいました。ところが、そのうちに、小さな二葉の上に、〈かたばみ〉特有のハートの形をした小さな葉が、ちらほら生えてきて、それが〈かたばみ〉と分かりました。


「なんでここに〈かたばみ〉が?また、土にでも紛れていたのかな?」と疑問に思いつつ、藍のプランターは藍だけにしたいと思い、藍の苗の横に小さな二葉をだす〈かたばみ〉を見つけたら、そっと抜き取って、小さな〈かたばみ〉専用の植木鉢にせっせと寄せるようにしています。(今は、愛着がわいて、〈かたばみ〉専用の植木鉢も新しく作っています。)


初めに我が家にやってきた、もともとの〈かたばみ〉はというと、日の光があまり当たらない我が家では、太陽が当たる方向に伸びてプランターからはみ出し、床面につく勢いで茎を一方向にのばして、ちょっとしたぶどうの房のようになっていました。


「うん、まぁ、居てもいいけれど、・・・そろそろ、この房、ちょっと切って小さくしようかな?」と、長い髪の毛を切る時の美容師さんがやるように、〈かたばみ〉の房を束ねて握ってみたときでした。


ぱちぱちぱちぱちっという細かい音と、手に感じた小さな無数の衝撃とともに、小さい何かが四方八方に飛び散り、私は、瞬間的に虫がついていたのかと思い、とっさに手をひっこめ、思わぬことに「ひゃぁっ」と大きな声が出ていました。


...おそるおそる床面あたりに目を凝らすと、飛び散った何かは、動きまわることもなく、何事もなかったように静かでした。

そして、私は、そこらかしこに、小さい茶色い粒のようなものを発見し、色々合点がいきました。なるほど。と。


次の瞬間、急に大きな声を出した自分に、大笑いしていました。朝から、急に心臓がきゅっと小さくなった後のリラックスで思わず笑っていました。虫ではなかったのでほっとしたのでしょう。


日頃から、少し離れた藍の苗の間から新芽を出す〈かたばみ〉が、ずっと不思議でした。なるほど。〈かたばみ〉の葉の間から、空を向いて立っているロケットみたいな形のものに種がはいっているみたいです。小さい頃に見たホウセンカと似たような、触るとはじけて種が飛ぶ構造なのだろうと理解しました。


沢山の放物線を描くように、遠くまで爆ぜた小さな無数の種。


よく見ると、1.8m位上の方の網戸にも〈かたばみ〉の種が付いていました。「これが、藍の苗の間から勝手に〈かたばみ〉が芽を出す理由か!」と一人で感心しました。



それから、いつにも増して興味がわいた私は、〈かたばみ〉について調べてみると、〈かたばみ〉の花言葉を見つけました。



喜び、
輝く心、
母の優しさ(三位一体)、
あなたとともに。


「!?」なんだろうこの親近感は!と思いました。


「喜び」、「輝く」、「優しさ」、「あなたとともに」は、どれも、毛糸に携わっていると、自然と私の心から湧いて出てくるキーワード。

・喜び:新しい毛糸に出合っても、染めても、編んでも、身に着けてみても・・・ワクワクします。
・輝く:ちょうど、シャイニーヤーンに取り組んでいた頃だったので、輝くという言葉には妙に親近感を覚え・・・。
・優しさ:毛糸の主にも、植物にも、酪農家の人々、紡績に携わる人々、染色、毛糸を手にしてくれた人々にも、全部につながっている環境にも、それぞれに無理のない優しさをと思っています。
・あなたとともに:この毛糸を受け取ってくれた人々と一緒に作品をコラボレーションするという気持ち。

(「あなたとともに」には、繁殖力の強さからついたという由来もあると知ると、何となくですが(勝手に飛んできて、居ついてしまう〈かたばみ〉にこの言葉を当てはめてしまうと)、ちょっとしたホラー的な怖さを感じつつ・・・。依存ではなく、お互い自立しながらも一緒にいられる関係ならそれは、相棒のようで頼もしいとも思い直し・・・。)


更に、調べているうちに分かったのが、私が染色でお世話になっている材料(成分)は、なんと、〈かたばみ〉にも含まれていて・・・。


私と〈かたばみ〉の間のちょっとした、でも大切な沢山の共通点を見つけ、この日から〈かたばみ〉はPalettieのシンボル~心の友~となりました。




--------------------------------------------------------



今回は、染色や毛糸とは直接の関係はないのですが、私が手染め毛糸をしているときに大切にしていたものが形として現れていたような・・・。染色をしているときから、知らないうちに近い存在だったような・・・そんな気がした、他愛もないけれど、私にとってはもうなんだか大切な〈相棒〉の話でした。


今回は、ここまでとなります。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

また、次回からは、染色などの話に戻ります。