2023/12/16 17:15
こんにちは。手染め毛糸のPalettieです。
現在、私が取り扱っている糸に「ナチュラルヤーン」というのがあるのですが、先日、この糸を選んだ理由についてのご質問をいただきました。質問をどうもありがとうございました。
質問の内容は、ノンスーパーウォッシュの素材(ナチュラルヤーン)を採用した理由についてでした。
そこで、今回のブログは、その質問について私が考えていることをお伝えしたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
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ナチュラルヤーンを形にする際に、まず、初めに、私の中で「自然で素朴でハリがあり、かつ草木染の明るいトーンの色のソックヤーン」というイメージがありました。
そこから毛糸を探し始めたのですが、この時、私が大切にしたのは、素朴な手触りとハリを持つのと同時にチクチクしないを叶える毛糸/毛糸の優しい光沢をもつもの/環境により寄り添えるような自然な形に近いもの...などでした。
この中の、「環境により寄り添えるような自然の形に近いもの」
というものが、ノンスーパーウォッシュの、この糸を選んだ理由の一つです。
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もう少し詳しくご説明するために、ここで、少しスーパーウォッシュ加工について私が知っている範囲で書いてみます。
(実際に加工されている場所を見学をしたわけではなく、まだまだ勉強中であり、技術も進化しているところ・・・、何かありましたら教えていただけましたら幸いです。)
私は、この、スーパーウォッシュ加工というのは、日々の生活で毛糸製品を扱いやすい状態や毛糸に新しい特性を加えるために施される加工の一つと理解しています。毛糸の表面に、スーパーウォッシュ加工という化学処理をすることで、毛糸がもともと持つ特性に変化を加え、洗濯をした際にも毛糸をフェルト化しにくい状態にしていると理解しています。
若かりし頃、洗濯で毛糸製品を縮めてしまった経験が何度かある私にとっても、スーパーウォッシュ加工は、とても心強い状態だと思っています。
さて、この化学処理工程には程度(種類(どこまで加工をするのか?また、使用する化学物質の種類等))の差があるようですが、いずれにせよ、工場で化学処理をする段階で、加工をしない毛糸よりもエネルギーや化学物質が必要になっています。また、同時に、排水処理に関する懸念点が出てきます。排水処理をきちんとしている場合も、更に、そのためのエネルギー等が使用されることになります。
ノンスーパーウォッシュ加工を採用した理由に、糸を作る際に、一定の化学処理の工程がなくなる分、より自然の状態に近くなると感じたことがあります。ここで、誤解が無いようにお伝えしたいのは、化学物質やエネルギーを使うことの是非をお伝えしているわけではありません。化学物質やエネルギーは私たちの生活に欠かせないものですし、そのおかげで私たちの生活がとても豊かになっています。そして、これからも、きっと、より化学品やエネルギーに関することは様々なことを考えながら生活に取り入れていくのだと思うのです。これからも、0か100かではなくて、色々なバランスを可能な範囲で考えながら環境(生き物)にも良いようにと心がけるということになるのだと思います。(環境というのは、ここでは、地球上にいる生き物(人を含む)や植物など地球全体と思っています。全てつながっていますものね。)どちらが良いか?ということや、どこまでやるのか?というのは一概に言えないのですが、今回の「環境により寄り添えるような自然の形に近いもの」という視点を大切にしたときに、ノンスーパーウォッシュという形態を取り入れてみたいと思いました。
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私は、普段のソックヤーンも「人を含む、生きるものすべてに還ってくること(環境)に、より寄り添えれば」と思っています。その一つとして意識していることがあります。それは、糸に用いられている化学物質を選ぶことが出来る時は、生分解性の化学物質を選ぶということです。(生分解性の化学物質とは、土に還ったときに、自然に影響を及ぼしにくい状態まで分解される可能性があるものと私は理解しています。)
具体的には、ポリアミドという物質になります(ナイロンという商品名で呼ばれていることもあります)。全てのソックヤーンではありませんが、多くのソックヤーンには、強度を持たせる工夫のひとつとして、ポリアミドという化学物質も含まれているものがあります。現在、Palettieでは、ポリアミドが含まれるタイプのソックヤーンをお取り扱いする際に、可能な範囲で、生分解性のポリアミドが含まれるものを選ぶように心がけています。(以前お取り扱いをしていたソックヤーンの中には、生分解性ポリアミドではないものも数点あります。)
普段のこの視点に、もうすこし環境に寄り添えそうなこと、私が選択できそうなことは何だろう?ということを考えてみたときに、ノンスーパーウォッシュという形態になりました。こちらの糸は、この糸の作り手さんによると、ノンスーパーウォッシュ加工でありながら、洗濯機(弱水流)の使用も可能ということでした。だとしたら、なんだか環境にも私たちにも同時に寄り添えるのではないかなと思った次第です。
以上が、今回の、ノンスーパーウォッシュのこの素材を選択した経緯です。
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色々なことを考えると、私たちが普段行う選択に、少しの気配りと手間が必要なこともあります。もしかすると、他の点も総合して考えて、使用しているうちにやはりスーパーウォッシュの毛糸の方がいいということもあるかもしれないとも思います。それでも、少しチャレンジしてみて、その都度、結果を踏まえながら、また考えてを繰り返して...、今後もいろいろ取り組んでいけたらよいなと思っています。
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長くなってしまいましたね。最後までお付き合いいただきまして、どうもありがとうございました。
どうぞ素敵な夕べをお過ごしいただけますように。