2024/03/26 13:15

こんにちは。手染め毛糸のPalettieです。



この写真は、草木染めの染料液です。ある一つの植物を煮出していく過程や、そこに少しの操作を加えることで得られます。この写真の三色の液は、一つの植物に秘められた色の可能性を表しています。このように、一つの植物から、それぞれの操作のタイミングで異なる色が現れるのを見るのは、いつも、ちょっとした驚きを伴ったりします。


一つの植物の染料液の色が、時間の経過や操作毎に変化するのを見るたびに・・・

私は、草木染めというのは、時のうつろいを糸にうつしているのだなと思うのです。



今回のブログは、久しぶりに草木染めについてのお話です。

一番お伝えしたいことは、もう、上の二つの文でも、題名でもお伝えしてしまってあるので、ここから先は、そう思うに至った過程などが書いてあります。少し長いですので、もし、お時間の許す方がいらっしゃいましたら、お茶の時間にでもお立ち寄りいただけましたら嬉しいです。


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草木染めに用いられる植物は多くあります。草木染めをするには、数ある植物の中から、まず、力を借りる植物を決めます。

見た目に濃い色の染料液でも糸にはあまり色ががうつらないものや、

淡いように感じる染料液から濃い色の糸が染まることもあります。

もとの植物の見た目と同じような色に染まるものや、

見た目と異なる色が現れるものもあります。


染まったあと、似たように見える色でも、それぞれの植物によって得られる特性が異なったりします。


数ある植物の中から力を借りる植物を決めたら、次は、染色工程に移ります。


植物の色を直接いただく草木染めは、植物の種類にもよりますが、

細かくした植物を水の中でもんだり、はたまた、ゆっくりことことと煮出したり、煮出したり、煮出したり・・・、助剤を加えたり、熟成させたり・・・、と、様々な過程を経て染料液を得ます。

染色工程は、おおまかな操作の傾向が似ているグループに分けることも出来ますが、適した条件がそれぞれ少しずつ異なったりします。

染色操作中には、温度の変化に心を配りますが、温度以外にも心を配る項目があります。
染色後には、毛糸にうつしとられた色味以外に考慮する性質もあります。

どの植物の色もそれぞれの個性があり、更には、同じ種類の植物でも個体によって色の違いがでることもあります。

それぞれの植物の特徴を生かせるように、操作を工夫していきます。



草木染めの工程は、同じ植物を用いても、人によって選択している方法に幅があり、必要な工程数や時間もそれぞれ幅があります。



エネルギー効率を優先するのか、
時間を優先するのか、
毛糸への負担軽減を優先するのか、
染色後の色の変化を小さくすることを優先するのか、
好きな色を染めるのか・・・


何か一つを優先させると、他の視点から見るとあまり好ましくない影響が出る・・・
こっちをとると、あっちが・・・ということもあります。


染める時に何を大切にするかということを考えると、染めるのに用いる植物やその他の工程が決まってくるのだと思っています。


私の場合は、せっかくなら、植物の力で染めた毛糸をなるべく長く楽しんでいただきたいということを軸に染色全体を組み立てて考えてるようにしています。


そのために、どのような毛糸を選んで、どのような植物の力を借りて、そしてどの工程を選択するのか..。



実は、(今は、)毛糸にひたすら優しい方法をと思うと、時間ばかりが経ってしまうこともあります。

私の場合、特に、染色を重ねていく工程を繰り返す植物の場合、6かせ染めただけなのに、あっという間に2週間近く経っていることもあります。


スピードが大切といわれる中、なんだか世の中と逆行しているような気がすることもあります。


今、私が選択している草木染めの工程は、染色結果を見るまでに、時間が必要であったりしますが、それでも、染めあがった毛糸を見ると、どれもなんだかほっと心穏やかになります。





・・・そんなとき、思うのです。


草木染で染めあがった糸には、時のうつろいが落とし込まれているような感じがすると。


植物が芽吹いて、呼吸して、育って、私の手元に来るまでに経た時間が植物の色になっていて、


更に、私の手元に来てから、植物を煮出す時間での色の変化があり、


染料液を重ねる、媒染を重ねる、それぞれの工程で、


その時、その時が、毛糸の色にかさなっていると思うのです。



静かに、粛々と、何かが進んでいる。
目に見えないスピードで。



スケールアップをすると、もう少し時間が短縮されるとも思うけれど、

今は、一度に多くの毛糸を染めることはままならないけれど...、

バランスも大切にしながら、改良できるところは改良しながら、

一つ一つ、できることを、日々、粛々と進めています。


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ちなみに、天然染料の染色(草木染め)と、化学染料の染色は、操作性や考慮すること等、異なる点は沢山ありますが、結局、どちらも、化学反応で色が染まっています。




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今回のブログは、ここまでです。最後までお付き合いいただきましてどうもありがとうございました。

引き続き、素敵な一日を。