2024/11/22 20:52

こんばんは、手染め毛糸のPalettieです。

最近は、お題をいただいて染める、もしくは、お題の中に自ら飛び込む活動をしていました&しています。

今日は、その一つ、最近染めた「ワインレッド」についてすこしまとめてみました。

今回も長文ですので、お時間のある時にでも、ちょっとしたお茶のおともにでも、お立ち寄りいただけましたら幸いです。




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以前、「いつかワインレッドの毛糸を染めてもらえたら・・・」とのメッセージをいただき、

それから、私なりに、ワインレッドについて考えてみるようになりました。


<ワインレッド>
私にとっては、大人っぽくもあり、華やかでもあり、用いる素材によってカジュアルにもドレスアップにもなる色、手に取ることが多かった色。でも、100gのかせとしてお店に並べてみたことはなかったなと、今回、改めてワインレッドについて考えてみました。

私が染めるとしたらどんなワインレッドになるのだろうかと。


ワインレッドの瑞々しさ、透明感、瓶の中に静かに納まっている感じ、注ぐときの色の濃淡、グラスに注いだときの光に透けた感じ、いろいろなところを切り取ることができそうだけれど・・・さて、どうしようかな、どうしたいかなと。

まず、ブドウの品種や熟成の程度によって色も変わるな。どんなワインを想像するかな・・・と。少しイメージを膨らませました。

個人的には、わかりやすいフレッシュな赤ワインが好きです。好きだなと感じる品種は、ピノノワールが多いかもしれません。ベリーやカシスを感じるようなとか評されているときも多いかと思います。色は、少し青みがかっているように感じる時が多かったような記憶です。あれ?でも、熟成の進んだ赤ワインのオレンジから赤みがかった色も好きです。

...なるほど、ふむふむ。きっと、どのワインレッドも私は好きなのだなと感じたので、これではまだ、今回の色の方向性が定まらず...、さらにどうしたいかな???とワインレッド考は続きました。


次に、ワインを飲んでいる風景や場面を思い出してみることにしました。

ドレスアップした時のレストランも、カジュアルな時のレストランも、そういえば、雪山なんて時もあったかな。結婚式などのお祝いやパーティーでにぎやかに、はたまた、家で静かに飲むときも。

そのうちに、ふと、強烈に思い出したことがありました。ここのところ、寒い日もあったからでしょうか。

それは、ドイツのクリスマスマーケットで飲んだグリューワイン(の赤ワイン)です。

ドイツのクリスマスマーケットの夜は本当に寒いのですが、小さなメリーゴーラウンドや、甘栗屋さん、あたたかいスープ屋さん、たくさんの雑貨屋さんが所狭しと並んでいて、それぞれのお店から溢れ出るようなあたたかいオレンジ色の光に包まれた夜の景色に心がワクワクしました。そこには、毎日通いたくなるような特別感がありました。

一人の夜ご飯がてら、ふらっと近くのクリスマスマーケットをはしごすることもありましたが、大好きな友達とグリューワイン片手に一緒に過ごした時間は、今から思い出しても特別だったなと思います。(あの時期はクリスマスマーケットに限らず、友達と会ってジンジャークッキーと一緒にグリューワインを飲んだりもしたような?)

グリューワインの作り方は、シナモンやスターアニスといったスパイスや、オレンジやリンゴなどのフルーツや、砂糖をワインに入れて火にかけるのですから、こうなってくると、多分、ブドウの品種とか熟成とかあまり関係なくなってきます。でも、それもいいのです。寒い夜、温かいグリューワインを囲んで他愛もないような話をしながら誰かと一緒に楽しい時間を過ごしたことが何よりでした。そして、無性にあの時一緒に時間を過ごしていた友達に会いたくなりました。(私は、もう何年もドイツ語を話していないから、もし今、その友達と会っても思うように話せないだろうけれど...、それでも会いたいなぁ、なのです。)

そういえば、帰国した年の冬や、しばらくは、誰かと冬に集まるときは、グリューワインを作って飲んだりしていました。多分、楽しい時間を一緒に過ごしたかったのかと思います。それでも、いつの間にか、グリューワインを飲まなくなっていたことに思い当たりました。今回、急に懐かしくなり、今年の冬は、スパイスを見つくろって、久しぶりにグリューワインを作ってみたくなりました。そして、楽しかった時間の思い出をつなぐ「ワインレッド」はなんだかいいなぁという思いに至りました。

そして、ここにきてやっと、でも、きゅっとすんなり、私の今回のワインレッドの方向性が決まりました。

目標は、「あたかい気持ちになるワインレッド(になるといいな)」です。


糸に色をうつすときは、いろいろなスパイスを少しずつ選ぶように、色を少しずつ重ねて・・・

個人的には、ジンジャークッキーも思い出してしまうようなワインレッドに染め上がりました。

いつもよりも揺らぎは少なくなめらかな色の中に、たまのスパイスを感じてもらえるかもしれません。


もし、この毛糸を手にしていただいたときに、いつかのあたたかい気持ちや記憶につながったなら...、そして、もし、この色を気に入ってもらえて冬のお供になれたら...、それは、とても嬉しいです。

そして、もし、今の私の方向性が、思い描いていたものと少し違っていたらごめんなさい。その時は、そのままにしておいてもらって大丈夫です。


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さて、実は、お題をいただいて糸を染めるのは、初めての試みでした。

今までは、例えばですが、白色でも200色ある(らしい)のですから、その中でご希望の200分の1の白に合わせるのは少し難しいだろうなと感じていました。恐らく、本当は、まず、その人の感覚と私の認識を合わせる作業というのにとても時間がかかると思うのです。

また、毛糸のたたずまいや色の魅力を余すところなくお伝えできているだろうか?ということもいつも気になっているので、

(←自分で決めたテーマで染めた毛糸も、染め上がった毛糸の写真を家にあるいくつかのデバイスで確認すると、少しずつそれぞれの機械の特性で得意な発色が異なるものだから・・・、皆さんのデバイスでみても実際に近しい色で合わせられているのだろうか?と、新しい毛糸をお店に並べる前は、いつも答えのない調整に挑んでいるような気持ちになったりもしています。そんな感じだったので、)

今までは、色のご希望(お題)についてお声をかけることは至難の業だろうと思っていました。ところが、いつもいろいろな色のナチュラルヤーンを自由自在に素敵に編んでいただいている方がいらして、私の心境が少しずつ変化してきたのです。最近では、「今度は、どんな形の作品になるのだろうか?」と作品が編みあがるのをとても楽しみにしていましたし、そのうちに、「今は、どんな色で編んでみたいと思っていただいているのだろう?」という気持ちがむくむくとわいてきてしまって、「もし、何か編みたいと感じている色があったら、その染色に取り組んでみたいな」と感じてしまったのです。恐らく、手染め毛糸を通して何度もやり取りを重ねるうちに、そういう気持ちに自然となったのだと思います。(そんな自分の気持ちの変化も嬉しくて感謝です。)


初の試みを経て感じるのは、今回のようなある意味、テーマの指定があるのだけれど、ある意味、私の表現を大切にしていただいているようなおおらかで自由なお題は、私にとっては、その人と一緒に一つの作品を作っているような時間で、とても楽しかったです。ワインレッドとしての~グリューワイン~は私の手染め毛糸として仕上がりました。あとは、私の向かった方向性と、お題を出していただいた時の方向性が激しくずれていないといいのですが・・・。そして、尚、付け加えるとしたら、楽しい毛糸時間のお供になれたらとても嬉しいです。最後に、心よりのお礼をお伝えして今回のブログを終わりたいと思います。この度は、貴重な機会をどうもありがとうございました。


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今回のブログはここでおしまいです。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
引き続き素敵な夜を。